Song for YOU

ふと気づけば そこは旅路の途中
なぜだろう 安らっていたいのに

誰かが僕を呼ぶ
まだ見たこともない君が

荒野で寝転ぶと見えるのは
いつか君と見た 降るような星の渦
肩を寄せあい 二人の鼓動だけが響いていた
もう 何もいらなかった

いっせいに萌え出づる花の香りに
幼い君の笑顔を思い出す
小さな小さなその手の愛しさ
必ず守ると心に誓った

はらりと舞い落ちる落ち葉は
姉のような君の涙
僕を見送っていた姿がふいに蘇る
いつまでも手を振り続けていた

パチパチとはぜる焚き火に
君の言葉が重なっていく(もう、いい加減に寝なさいね)
母のようなその手の温もり
サラリと髪が降りかかった

いつだって探している
会ったこともない
懐かしい 君の温もりを
その声を


 「風に、耳をすますのよ」


いつだって風は吹いている
季節はめぐり
風向きは変わり
けれど


 「目を、閉じてみて」


変わらないものがある
姿は移ろい
時に記憶を洗い流されても
だから

君に見せたいものがある
まだ生まれない君に
去りゆく君に
微笑む君に
泣きじゃくる君に

それが何かはわからない
でも僕は知っている

君を飾る髪飾りもなく
君に手渡す花束も持たずに

この歌一つを心の中にたずさえて
僕は君に会いにゆこう

聖剣伝説LOMのサントラに収録されている、
「Song of MANA」の歌詞を意識して書きました。
こちらは男性形で。もはや、別物ですが。

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