コンゴの物語
《心の友》
「…ど、どうだ!?」
コンゴの心臓は今にも破裂しそうだ。
「…あなたは、ずっと孤独だったのですね」
もはやコンゴはたまらず、マスターに抱きついていた。
「ぐまっ!?」
テーブルが派手にひっくり返る。アナグマ達があわててかけよる。
あてて、とのんきな声を出したマスターの頭から、ピースが一片はずれてしまっている。しかし、ピースはアナグマ達がはめてくれた。
「…私にとっても、よい日ですよ。私は人との会話や触れ合いを愛しているのです。心の樽が満ちる日にあなたが来たのも、マナの女神のお導きですね」
もう、コンゴ止まらない。マスター、全身バラバラにならないといいけれど。
その時、『悪魔』がマスターの心の樽からほんの少し、ぼったくっていった。『心の酒』が、熟したのだ。
その日以来、コンゴは足繁くマスターの元に通うようになった。プッツイ様を連れていく時もある。アナグマ達も、あまり怒られないようになって万々歳だ。
そして、ノーム曜日と、マスターの心の樽に敬意を表してウンディーネ曜日が、穴掘り団の祝日となった。
コンゴは、ようやく詩集のよき読み手を得たのだ。
Fin
コンゴは、あの詩集をとっても大事にしていたに違いありません。
あのいかつい容貌や言動からはちょっと想像できない、
彼の繊細な詩人魂。