蝶・きままWJ感想

■20号(デスノ) 04/18 (火)
DEATN NOTE page.105:無理
:私は月の思想に同意できないアンチ月であるため、今回の感想は月への辛口批判の感想になります。月ファンの方は、以下の感想を閲覧される場合はご注意下さい。
4/21感想末尾にトンデモ予想を追記。

■勝てば官軍、負ければ賊軍
サブタイトルの「無理」は、新世界の神のご高説を以てしても、この場にいる者共の説得は無理、という意味でした。ちゃんちゃん。
そもそも、ここに揃っているのは、魅上やリュークなどの部外者を除けば皆、世論がキラに傾いていてもなお、キラ逮捕のために文字通り命をかけてきた者達。普通に考えれば説得は無理だとすぐわかりそうなものなのに、説得できると思い込んでいる辺りが、月の視野の狭さを露呈している。
かつて、月とLの戦いの火蓋が切られた当初は、『どちらの正義が正しいか証明してやる!』と両者とも思っていたはずだが、月の方は、第一部でLを倒した時点で『勝った!』と思ってしまい、その後の第二部では、こうしてLの後継者にチェックメイトされてもなお、自分の正義が崩れることはないと妄信している。その自家製の神の座とやらがひっくり返されるという可能性が欠片も頭にないことに、改めてため息。
「私もあなたと同じです。自分が正しいと思う事を信じ、正義とする」と、『人それぞれ』と考えられるニアが、柳生九兵衛のように普通の人間らしさを備えていて、ホッとする。

■レイ=ペンバーと南空ナオミ
「人間は、幸せになる事を追求し、幸せになる権利がある。しかし、一部の腐った者の為に、不意に、いとも簡単にそれが途絶える。…事故じゃない。腐った人間が生きていることによる、必然」
そうですね。レイ=ペンバーと南空ナオミは、結婚して幸せな家庭を作る権利──などという仰々しいものではないが──があった。しかし、たった一人の狂人のために、不意に、いとも簡単にそれが断たれた。…事故じゃない。狂った人間の仕業による、必然。

■火口卿介
「幸せになる権利。それは、皆に平等にある。いや、なくてはならない。それは、他の人間を攻撃したり陥れたり、ましてや殺す事で得るものではない(後略)」
幸せになる権利。レイ=ペンバーと南空ナオミだけでなく、火口にもいえますね。月が自己保身の為に、レムを利用し、捜査の囮として第三のキラを作り出した。月さえ新世界の神になろうなどとしなければ、火口は出世レースにあくせくするチンケな男のままで、キラとして人殺しになることはなかったはず。そして月に殺されることもなかったはず。

…月の演説にはツッコみたいところが泉のようにあふれてくるんですが、とりあえず、この辺で。

■悪いのはデスノートか、月か
「…あなたが、まともな人間だったなら、一度は興味本位でこのノートを使ってしまったとしても、ノートによって起きた事に驚き、恐れ、してしまったことを悔やみ……二度とノートを使わない」
かつて第一部で、月の父・総一郎が「悪いのは、人を殺せる能力の存在だ。そんな力を持ってしまった者は不幸だ」という趣旨の発言をした時、わずかながらも月の改心フラグが立ったと思っていましたが、今回のニアの発言でそのフラグも完全にぽっきりと折られてしまいました。
第一部でLを倒し、第二部でも実父を利用し尽くした時点で月の改心の可能性などLの生存よりありえなくなってしまっていたのですが、この作品において今回、『悪いのはノートの存在ではなくそれを悪用した月』とはっきり表明したのは個人的に大きなポイントだと思います。

■ニアとLの、神の認識の相違
今回、ニアは「もし神がいて、神の教示(ことば)があったとしても、私は一考し、それが正しいか正しくないかは自分で決めます」とあっさり言っています。

私がLに惹かれたのは、捜査の為には超法規的手段もいとわないシビアさとは裏腹に、『神』への畏れを抱いていたというアンバランスなところでした。
Lは、「死神」という言葉に腰を抜かして椅子から転げ落ち、そしてまた、「天から見通せる様な者の存在を認めたら、そんな者は捕まえようがないし、私はとっくに殺されているか、永遠に手の平の上で遊ばれ続けるかです。いや…そんな者の存在などあり得ない…」という発言もしております。無意識のレベルですり込まれてしまっているらしい神への畏れが、とても人間らしく、神になろうとする不遜な月との対比もあいまって、とても親しみを持てました。
そのため、手癖や冷静な思考回路はLによく似ていても、そうした観念論など全く吐かず、感情の大きな起伏もないため人間味があまり感じられなかったニアには、一キャラクターとしてはあまり魅力を感じていませんでした。(もちろん、月を逮捕してほしいと応援はしていましたし、決して嫌いではありませんでしたが。)

ところが、前回の「二人なら」発言でライバルであったメロに思い入れのあるところを示し、そして今回、ついに彼の『神』への意識をも示したところで、個人的な好感度がぐんとアップしました。
Lとは違い、ニアは『たとえ神が何と言おうと私は私だ』とはっきりと自我を保つ人物のようです。そういう意味では、初代Lの不安定さは持っておらず、その点でLを上回っているといえるでしょう。
Lの持っていた要素を二分割しただけにみえたニアとメロ(メロの性格や個性は最初の頃からはっきりと描かれていましたが)が、ようやく個々にキャラクターとして独立したことを嬉しく思います。(キャラが立つのがかなり遅かったですが…)
仲間を思いやる気持ちや、神を必要以上に畏れず、かといってその上に立とうとする不遜さもないニアは、人間としてはL派三人の中で一番、精神バランスが取れている人物のように思います。

■四面楚歌
ややキラの思想に傾倒していた松田さえ、迷いのない鋭い目つきで月を睨んでいるのが、嬉しい。
そりゃ、あれだけの無様っぷりや、忠実な魅上に対するそんな奴知らない発言の後では、どんなに高邁な高説をたれようがしらけるだけだろうな。
魅上も、いったんは「僕はそんな奴は知らない」と見捨てられたため、月への忠誠心や行動力が薄れているだろうし、彼がこの後、自ら動く可能性は低そうだ。
リュークは言うまでもなし。今頃は腹を抱えて笑っていそうだが、今回は全く出番がなかったのが残念。

■次なる月の動向
『…………言ってもわからぬ馬鹿ばかり…』というモノローグの後に、腕時計がクローズアップされていますが、これを使うとして、月は一体何をするつもりなのだろうか。
  1. 「僕を倒したところで、今更、状況は覆らないぞ! 見ろ、これから僕は死ぬ。けれど、キラが死んだところでもう意味はない…いやそれどころか、反動で世界は犯罪に染まり、地獄と化すのだ! 悔いるがいい、神に逆らったことを」などと演説しながら自分の名前を書き、自害。
    └→自害はある意味、敗北でもあり、プライドの高い月が果たしてするかどうか。個人的にはこれをしてほしいところだが、まだあきらめてなさそうな目つきなので、この可能性は低いと思われる。
  2. Lの最後の後継者と思われるニアの本名を書く。Lを継ぐ者さえいなくなれば、その部下も骨抜き当然、今後は月を脅かすものはいなくなる。
    └→その場ですぐに書き始めたら、周囲の者らに取り押さえられるか拳銃で腕を撃たれるかして、端切れに書けなくなる可能性が高い。
    そのため、わざと手錠をかけられ、連行されるふりをしながら密かに時計のからくりの端切れに書き込むか。(火口の名前を書いた時も、Lと手錠で繋がっていたまま月はやってのけた。)
    あるいは、「魅上。そして死神。お前達はどっちが正しいかわかっているだろう?」などと言って周囲の者の目を魅上やリュークに逸らし、その隙にボールペンでささっと書くか。(高田殺しの時は普通のペンを使っていたことより、スーツのポケット等にペンを携帯している可能性は十分にある。)
  3. 「僕は私利私欲で新世界を造り上げているわけじゃない。だからこの通り、家族だって切り捨てられる!」と叫びながら、母と妹の名前を書こうとする。粧裕ちゃんの危機に松田が猛ハッスル、警察チームやSPKの誰よりもすばやく月を取り押さえる! そして松田と粧裕は結婚し、めでたしめでたし。
    └→トンデモな予想だが、これをいちばんやってほしいです。
  4. 4/21 追記:「…フフフ、お前ら馬鹿共にはこの神を倒すことなどできぬ。僕を神の座から引きずりおろすことなど永遠にかなわぬことだと、思い知るがよい!」
    かつて、まんまとLを欺いたかの奇策カードを、再びオープン!
    「僕は、所有権を放棄する」「あいよ」
    ピュア月、降臨。
    「あれ、一体僕は何をしていたんだ…? そういえば、僕たちは何かを見届ける為に皆集まったはず。なぜ皆、僕を睨んでいるんだ?」
    「…さぁ、キラを捕獲して下さい」「ハッ」
    「ちょっと待て!? 僕がキラだと? 待ってくれ、これはなにかの罠だ! 聞いてくれ、」
    『…私の神は、もはやいなくなった』
    「あ、魅上も忘れずに連行して下さいね」
    「…月くんは、何がしたかったんだ?」
    └→トンデモ予想、第二弾。『所有権の放棄という選択肢もあるじゃないか!』とひらめいたのだが、こんなんしか思い浮かびませんでした。

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