蝶・きままWJ感想

■19号(デスノ) 04/13 (木)
DEATH NOTE page.104:答(こたえ)
最終回も間近にして(だよね?)、ようやくデスノの推理が当たりました! でもあくまで『大筋での』当たりなので、やっぱり及第点レベルか。
今週号は、感想と考察を交えながら書いてみたいと思います。

■魅上が本物ノートに急遽、接近した理由
今回、まず驚いたのは、魅上が偽ノートだけでなく本物ノートにも高田の名前を書いていたこと。あんた、そんなことまでやっていたのか!
この時点で、前回の予想とずれてしまっています。
  • 私の予想:魅上が高田からの連絡を受けた後で本物ノートの隠し場所に向かったのは、28日までの二日分のリストの書きためのため。
  • 答え:高田の名前を書いて始末するのが第一目的で、26・27日の二日分のリスト書きためはついでだった。根拠は「26日と27日の裁きに関しては、高田誘拐の後にも高田にリストを送り、書かせたのかもしれませんが、魅上は念のため、高田の名を記した際、一緒に(26・27日分の裁きも)記しておいた」というニアの説明。

私はてっきり、高田から魅上へ「緊急事態で私は動けないので、代わりにあなた(魅上)が裁きをして下さい」と頼んだのだと思っていたが、実際は逆で、魅上が高田へ、ノートの端切れに書くための裁きリストを送っていたということでした。
なんでこんな勘違いをしたのかふり返ってみると、誘拐当時、高田が持っていたのはブラジャーに隠していたノート一枚分ぐらいの端切れだけだったため、「万が一、何日も動けない時の為に、できる限り裁きをしておく(page.99の高田のモノローグより)」なんて、高田の手持ちの端切れだけでは書ききれないし無理だろうと思い込んでしまっていたためでした。がっくり。

■蛇足:高田誘拐などの備えについて
高田にこんな無茶をさせたのは、ひとえに、魅上が持ち歩いている偽ノートを本物と見せかける為、魅上に本物ノートの端切れを持たせない(=使わせない)ことを徹底したためだろうが、本当に高田が何日も監禁状態になった時も、こんな危うい作戦で行くつもりだったのだろうか、という疑問が残る。
たまたま数日後にニアとの決着が控えていたから当座の二日分だけで済んだが、尾行対策で魅上に偽ノートだけを所持させていて且つニアとの決着の見通しが立っていない時期に高田が誘拐されて監禁が一週間程続いたら、高田の手持ちの端切れだけでは間に合わなくなるだろうし、月や魅上は一体どうしたのだろうか。
…もしかしたら、高田の手持ちの端切れがいっぱいになってしまって裁きが止まってしまうのと同時に、魅上も偽ノートへの記述を止め、かつて出目川をさっさと始末して次の候補に高田を選んだ時のように、監禁状態で動けず裁きもできなくなった高田を始末してさっさと次の候補者を捜すだけなのかもしれない。そう考えると、人の命を駒のように思っている月や魅上の思考回路に背筋がうすら寒くなる。


■高田の死亡時間の設定
魅上と月がそれぞれ書いた高田の死亡時間が1分違うだけでほぼ一致しているのは、二人ともそれぞれ、高田から監禁の連絡を受けた際に、高田が所持していた端切れに裁きを二日分書き終えるタイミングを見計らったため、結果として同時間帯になったか。
高田誘拐・監禁の時点で高田をノートで始末しようと考えたことといい、本当に魅上は神(=月)の思考にぴったりと寄り添っている。
月があらかじめ魅上に「僕はノートの端切れを隠し持っているから、いざという時もそれを使ってトラブルを処理できるかもしれない。だから、何か起こっても余計なことはするな」と釘を差しておけば、忠実な魅上のことだから、高田から緊急連絡を受けた時点ですぐさま銀行の貸金庫に赴いて高田の名前を書くなどということはしなかっただろう。そういう意味で、月の詰めの甘さにニア側が救われている部分もある。

■本物ノートだという根拠
ジェバンニが銀行の貸金庫で発見したノートを『本物』だとニアが判定した根拠を、おさらい代わりに列挙。
  1. 魅上が常に所持していたものとは別に、もう一冊ノートが隠してあった。(常に所持していたノートの意義が問われる)
  2. 魅上がそのノートの隠し場所から離れた後、ノートの中身を確認してみたところ、高田の名前と死亡条件(1月26日午後2時33分自殺)が書かれていた。(魅上が常に所持していたノートに書けば済むはずなのに、銀行へ行く予定日以外の日にわざわざ貸金庫に近づき、隠してあったノートに記述し、且つその時間帯に実際に条件通りに高田が死亡している)
  3. 細工をほどこしたノートと異なり、11月25日から高田の名前が書かれる1月26日までの間の裁きの記述が無い。(もし高田の名前が書かれなかったならば、上の1の時点で浮かんだ疑惑についても『実は本物ノートが二冊あって予備を金庫に隠していたため、予備ノートは使われていなかっただけ』とニア側が考えてしまう可能性もあったが、高田の名前をわざわざ貸金庫に行って書いたため、2と3の時点で疑惑がほぼ確定)
  4. 通常の裁きのはずなのに、26日と27日分だけはそれぞれ翌日の未明に実行されるようわざわざ時間設定されている。上の1〜3とこの事実により、魅上所持のノートは偽物とほぼ確定。また、時間設定されているということは、魅上は少なくとも28日までは再びこのノートに近づくことはない(あるいは出来ない)という証左になる。(このことよりニア側は、28日朝までの間は魅上に気づかれずに本物ノートに細工をするチャンスができたということでもある)
  5. 「(26・27日分の記述の中に)この26・27日に新たに起きた犯罪者への裁きはない」のは、上記の4で導き出された「魅上は少なくとも28日まではこのノートに再び近づくことはない」というニアの推測を補強するもの。

ニア側が、隠してあったノートの真贋をこのように事細かに検討したということは、裏を返せば、彼らはノートを実際に使って真贋を確認してはいないということでもあります。些末なことではありますが、テスト書き込みしてみればすぐに真贋が判明できるのにノートを決して使おうとしなかったニアのプライドが、嬉しい。(ニア以外のSPK3人が、40秒が過ぎるまで冷や汗をかいていたのも、すり替えたノートの真贋を実際にテストしていなかったため、『もしかしたら…』という一抹の不安があったためと思われる。)
page.102(17号)にて月が、『人の命…悪人でいいじゃないか。一人や二人犠牲にして、(ノートの真贋を)確かめるべきなんだ。全く、おまえにはがっかりだ…。張り合いがなさすぎる…。お前は美しく勝とうとしすぎた』と考えていたことが逆に、今回のニアの勝利を輝かしいものにしています。
かくいう私も、ニア(かジェバンニ)がノートに死刑囚の名前を使って本物かどうかテストしたなどという可能性も頭に浮かべていたため、この点ではニアに白旗を掲げます。ニア、あんたは偉い!

■本物ノートの在処とセキュリティ破りの方法
本物ノートの隠し場所は、前回の考察中に真っ先に思い浮かべた銀行の金庫(実際には「貸金庫」)。普通に想像し得る妥当な場所でした。

そして、セキュリティ破りの方法は、種明かしを楽しみにしていたものの一つでした。
ニアの答えは、
「貸金庫は、我々が忍び込み、破る事が不可能ではない地方銀行の旧式の物」
「(ジムでジェバンニが鞄を自由に探れたため)魅上の持つ鍵やカード類のコピーはしてありました」
以上の2点。
今回の作戦で重要なのは、セキュリティ破りを魅上に知られないようにすることだったわけであり、そういう意味では、魅上の注意が行き届いているであろう自宅よりは、『本物ノートの存在もその隠し場所もばれていないだろう』と油断しており、且つ、用がある時にしか近づかないようにしていた銀行の方がやりやすかった、ということはいえるだろう。
そして、隠し場所が自宅外であったため、自宅に隠してあった場合にそれを盗んだり細工をするタイミングを見計らう(その難しさは前々回の推理でおさらい済)よりはずっとやりやすく、成功率も高かったと思われる。
今回の種明かしは、私が想像していたよりは丁寧に描写してくれていたので(今回のネームは色々詰め込まれていてぎっちぎちなのに!)、個人的にはとりあえず納得できるものでした。

また、自宅外に隠した理由については、「夜神月。あなたの策では──魅上は、今日まで決してノートを出してはいけなかった」という今回のニアの言葉や、page.102(17号)の『今、魅上が書き込んでいるのは、今日まで隠させていた本物なんだ!』という月のモノローグ(※今にして思えば、この台詞もちゃんと伏線になっていた)からして、魅上は月から『本物ノートを自宅外の場所に隠してそれを当日まで決して出さないように』という指示を受けていたということになる。(隠し場所まで具体的に指定していたかどうかはわからないが。)

■本物ノートの複製製作作業
page.103(18号)では、「ジェバンニが一晩でやってくれました。このすりかえが間に合うかどうかが鍵でした。(中略)しかし、ジェバンニは「間に合う」と即答してくれました。魅上の使ったペンと同じペン、魅上の筆跡まで完璧に真似し、外見に加え、中身も全てそっくりに」というニアの発言より、偽造及びすり替えをしたのはジェバンニ。
しかし、今週のpage.104では、ニアは「一日で、その複製を作ってくれたジェバンニやレスターのおかげ」とも発言していることより、以前にジェバンニが撮影した偽ノートの中身を手がかりに、レスターも部分的に手伝った(例えば表紙や裏表紙作りなど)ということか。

■蛇足:日付の狂いなど(原作のミス?)
本物ノートは「11月25日から」は書かれていないということは、
  • 魅上が本物ノートへ書き込んで裁きをしていたのは11月24日まで。
  • 魅上が高田へノートの端切れを送って本物ノートを隠し、ニア対策のため偽ノートに書き込み始めたのが11月25日。
ということになる。
※page.102の月のモノローグによれば、月は魅上に、最初に切り離したノートをまず5ページ、後に十分な期間を持つ枚数を高田へ送らせたことより、魅上に高田へファンレターを装って白紙のページを5枚送らせたのは、11月24日よりは幾日か前という可能性もあり。

ただ、page.88(52号)での「11月26日?5枚?何の事です?」『…………11月26日…ノートの送られてきた封筒にあった消印…指示が書いてあった便箋が5枚…』という月と魅上のやりとりより、月の指示でミサが魅上にノートを送って所有権を放棄したのは11月26日ということになる。こちらの日付が正しいとすれば、11月26日以前はそもそも魅上は本物ノートを入手していないということになるため、上の「11月25日から1月26日まで書かれていない(=11月24日までは本物ノートに魅上が書いている)」というニアの説明と矛盾する。
ニアが該当箇所を説明するシーンでは、本物ノートの「11月」分とされる1ページも示されている。このページは、11月1日から11月24日までに書かれた11月分の内の1ページのはずであり、魅上が書いたものという前提で話が進められているため、ゆえに、上で引用したpage.88の「11月26日?」という月の台詞は原作のミスと思われる。正しくは11月初旬辺りが妥当な日付か。

ちなみに、魅上に送る前にミサが書いていた部分のページは、ミサから足がつくことを怖れていた月が、あらかじめ処分させていたと思われる。もしミサが書いた部分も残っていたならば、ニアが本物ノートを入手した時に、魅上以外の筆跡に着目しないはずがないが、今回のニアの説明ではそういう事実は全く示されていない。
(もしかしたら、次回以降で「ところで、本物のノートの前の方には魅上と異なる筆跡で書かれたページがありますね。これは、以前の第二のキラが書いていた跡でしょうか」などというニアの追い打ちがあるかもしれないが、私は月が抜かりなく、ミサが書いていた部分は処分させていた可能性の方が高いと思っている。)


■Lへの勝利宣言
「二人ならLに並べる。二人ならLを超せる」
これは、熱かった。あまりに熱かったので、その台詞を実はLとメロも聞いていたというパラレルな妄想を書き飛ばしました。
こちらです。妄想パラレル小説が平気な方のみ、どうぞ。(※パラレルとはいえ、『Lが死んでる』という前提の、同盟趣旨に反する内容になってしまっていますので、あらかじめ謝っておきます。すみません(土下座)。)
妄想を書いたらすっきりしたので、こっちではあまり書くことがないんですが、キラに勝つのみならず、Lを超すという目標まで達成してしまったことに拍手。メロもこれで、報われるというものです。

■月の回想に出てきた面子
月がチェックメイトをされてしまい、素っ裸で咆哮を上げる場面(直前の目が裏返っている顔つきのコマといい、なんだかとっても笑えるんですが、小畑先生はわざとやっているに違いない)に浮かんでいる顔が幾つか。
左上から時計回りに、レイ=ペンバー・南空ナオミ・弥海砂・夜神総一郎・宇生田・L・イラストでしか顔を知らなかったメロ、ですかね。
個人的には宇生田がちゃんと入っているのが嬉しいです。彼の死はショックだったし、どうにも報われない感じがあったので。(しかも、殺したのは月ではなくミサだったし。)
ただ、気になるのは、今頃はスイートルームで寛いでいるはずのミサの顔も入っていること。生きているのになぜ入っているのだ?…もしかして、同じく入っているLも生きているという伏線か!?(※このサイトの主旨は『L死んでない』であります。)
そして、結局南空ナオミの遺体が発見されていないのも気になる。Lの死のあいまいさもあるし、これらの伏線は回収してくれないのだろうか。

■ついに自白
「そうだ。僕がキラだ」
ついに、はっきりと自白しました。月が今までに正体を明かしたのは、同志となりうる者(ミサ・魅上・高田など)をのぞけば、相手にチェックメイトをかけた時のみ。
今回のキラ宣言は単なる開き直りなのか、それとも強硬手段に出て、まだ何かやらかすのか。
個人的には、他人を巻き込まずに自害してくれたら潔くてよいかも、などと、血も涙もないことを思っていますが、まだ醜い悪あがきをしそうなところが恐い。
他人を殺傷するならば、拳銃を使うか、ニアが持っている本物ノートを奪うか、相沢が持っているノートを奪うか、はたまた腕時計のからくりを使うか。(リュークに頼むという手もありますが、リュークは誰にも協力なぞせずに高みの見物を決め込むでしょうな。)ノート類を使うのは途中で邪魔が入りそうなので、手っ取り早く拳銃を使いそうな気もしますが、今までノートを使ってさんざん殺しや対決をしてきたのだから、最期の時までちゃんとノートを使い、自分の名前を書いていただきたい。

でも、個人的に一番好ましい展開は、月が、ニア達SPKと仲間だった警察チームの面子に捕まえられてご用となり、牢屋に入れられて「このやろぉー!」などと一般人に檻の外から石を投げられるオチです。(牢屋というより動物園だ。でも見せ物もどきな晒しものの刑も面白いかも。)そしてリュークは、抜け殻となって牢屋の片隅で膝を抱えている月の横で腹を抱えて笑い転げる、と。
ここで月を拳銃で射殺してしまうのでは、大量殺人をやらかしてきた月と同レベルになってしまいますし、せっかくノートを一度も使わずに頑張ってきたニアチームには、ここで手を汚してほしくはないです。あくまで逮捕・裁判という、法にのっとった方法で月を死刑台に送り込んでほしい。デスノートを使って『裁き』なるものを行なってきたキラ──月のやり方を否定するためにも。

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