蝶・きままWJ感想

■18号-デスノ考察 04/06 (木)
前回の推理はいったん白紙に戻して、もう一度、ニア視点での推理と動きを考察。

ニアの推理や対処について、先週の話(page.102)及び今週の話(page.103)からわかるのは以下の3点。


※私は、ニアが本物ノートの糸口をつかんだのはメロ・高田の死亡方法からではないという考えなので、以下の枠内部分は念のため、ざっとおさらい代わりに推理しただけです。興味ない方・長ったらしいのが苦手な方は枠内は飛ばして下さい。
メロの高田誘拐事件で二人が死亡した際に、その面子・死亡のタイミングからいっても少なくともどちらかがノートで殺された可能性は高い。
しかしニアは、端切れが有効だということを知らず、また、上の引用中で月が回想していたように魅上が機転をきかせて偽ノートに高田の名前を書き込んでおけば、ジェバンニがジムのない日に無理矢理ノートに接近して中身を確認したところで「高田死亡は魅上のしわざでした」で終ってしまう。
この死亡事件そのものからニアが本物ノートの存在の糸口を見出すならば、月チームに名前は割れていても顔は知られていないメロの死亡だろうが、魅上が『高田誘拐犯がメロである』と即座に知る術がなく、仮に月がなんとかして魅上にメロの本名をノートに書かせることができたとしても、魅上がメロの顔を知らない以上はノートで殺せるはずもない。仮に魅上がメロの顔を写真等で知ることができて殺せたところで、同じく偽ノートにもメロの本名を書いておけば、上記の高田の場合と同様、ジェバンニ対策はそれで済んでしまい、本物のノートが別に存在するという糸口は、この二人の死亡からは導き出せない。


では、ニアがどこから本物ノートの存在と在処を知り得たかというと、魅上の動向からだと思われる。
魅上は、誘拐されて後にメロを殺した高田から携帯で「できる限りの裁きの分を…こっちのアドレスは…」などと指示を受けている。その時に『私は28日には自由に動ける様になる。とりあえずは二日分…まず、リストを…』と考え、「中島君。例の件の現場へ行ってくる」と同僚らしき女性に言い残して職場を出て行く。
ここで一つ、疑問がわく。
魅上は、今後身動きのとれなくなりそうな高田から幾日分か余裕をもった裁きのリストの指示を受けたが、仕事を終えた後、そのまま自宅で偽物ノートに書き込むのと同時に、隠しておいた本物ノートにも高田の代わりにその日の分の裁きを書き込んでおけばそれで済むはずである。
なのに、どうして仕事の最中にすぐさま席を外して外出しなければならなかったのか。
つまり、魅上が本物ノートを隠したのは自宅ではなかったということである。
魅上が初期の頃、本物ノートを使って自宅で裁きをしていた描写はあるが、偽物ノートを使い始めて以降、本物ノートを自宅にそのまま隠したという描写は私が見返した限りでは見受けられなかった。
自宅外に隠していたからこそ、自宅では裁きがいっさいできない状態であり、自宅外に隠してある本物ノートにわざわざ『とりあえずは二日分…まず、リストを…』まとめて書き込んでおかなければならなくなったのである。
行動が異常に几帳面な魅上の尾行をずっと続けていたジェバンニが、その不自然な外出を見落としたりニアに報告しないということも考えにくい。
おそらく、ニアはジェバンニから魅上の不自然な行動の報告を受けた時点で、その外出先と用事についてジェバンニに調べさせ、また、高田死亡後も裁きがとどこおりなく進行していた(月が、偽ノートがニア側にいつのぞかれても大丈夫だと考えていたことより、偽ノートに書かれていた裁きの内容は実際に遂行され、偽ノートと同じ内容のテレビでの予告も同様にとどこおりなく進行していたと考えられる)ことから、高田誘拐時の魅上の不自然な行動と、高田死亡後もとどこおりなく裁きが行なわれている状態はリンクしていると推理し、本物ノートが他にもあるという結論に達したと思われる。(あるいは、ジェバンニに魅上の行き先と行動内容を調べさせ、推理する前に本物ノートの存在を知ったかもしれない)

このアプローチならば、端切れが有効だということを知らずとも、魅上が偽物ノートを持ち歩いて別所に本物ノートを隠していたという重要な部分だけに迫れる。
また、ニアは入手した本物ノートの様子から切れ端でも有効らしいと推理できていたようだが、『魅上にその場で月以外の全員の名前を書かせるまでは誰も殺さないだろう』という読みで、月や魅上が切れ端を別に隠し持っている可能性をふまえた上で、あえて本体のノートすり替え以外の小細工は無しで、面会に踏み切ったと思われる。
(万が一、月や魅上が隠し持っていた切れ端を使おうとしたとしても、見張っている相沢らに取り押さえられるという読みもあったか)
以下は、蛇足気味な補足。

作中の時間の流れを追うと、高田が誘拐されたのは26日になって間もない深夜、月がノートに書いた高田の死亡時刻は「2010年1月26日午後2時32分」。
その後、page.100(15号)のメロ・高田死亡の報道時点では、既に本物ノートの存在を推定(あるいはジェバンニの目で実物を確認)済みであり、直前にジェバンニがいつ魅上の尾行をやめるかタイミングを考えながら『予定に支障はない…』と考えていることからしても、既にジェバンニにすり替え用ノートの作成は依頼済みで、すり替えてなおかつ予定日に間に合うかどうかという意味で『予定に支障はない…』と考えていたと思われる。
そして、メロ・高田死亡報道の最中にリドナーが「すみません…」と謝った時に「いえ、いいんです。問題は解決しました」と答えたのは、『本物ノートの存在をつかんだから対策は万全になった』という意味だと解釈できる。
直後に月に通信を繋げ、横槍が入ったが28日午後1時でよいかと念押しをしてから、「ジェバンニ」「はい」「間に合いますか?」「はい、大丈夫です」というやりとりがある。これは、すり替え用のノート作成およびすり替えのことである。
この場面と同時進行中の月チーム内で松田が「いよいよ明後日かー(=この日は26日)」と言っていることより、高田誘拐・死亡の26日中にニアは本物ノートの在処をつかみ、その日の内にジェバンニにすり替え用ノート作成を依頼して「間に合いますか?」と尋ねたことになる。今話(page.103)で「ジェバンニが一晩でやってくれました」とあることより、ジェバンニに作成依頼した翌日の27日にはすり替え用ノート作成とすり替えが完了していたということか。

ちなみに、本物ノートの隠し場所は、銀行の金庫、仕事関係の極秘ファイルの置き場、等々、場所は無限に考えられるが、おそらくは魅上の自宅よりはすり替えが容易な場所だと思われる。ジェバンニも、痕跡を残さないのは無理だが魅上のマンションに入ること自体は可能だと言っていたことより、ある程度のセキュリティ破りは可能なはずである。
何より、本物のノートの隠し場所を神(=月)にすら打ち明けていなかった(4/9 削除:自宅外に隠す旨を月と打ち合わせ済みの可能性もあり)魅上は、隠し場所がばれるはずがないと慢心していた可能性が高く、そのため、隠し場所も、意外性を最重視してセキュリティが甘い場所であったとも考えられる。
4/9 追記
有無のデスノ感想にて上記の推理の概要を投稿したところ、「「自宅外の安全な場所」のセキュリティが問われることにもなる」というレスをいただきました。(※以下の内容と大筋は同じコメントを、あちらにも残しています)
本編では既にジェバンニがすり替え成功してニアが本物ノートを持っている以上、そのすり替え方法は後から説明するだけになるしおそらくは強引な説明になるだろうと私も思う。もし、本物ノートの隠し場所やそのセキュリティにまで伏線がはられていたのなら、何も言うことはないのだが。
個人的には、ニア勝利という結果が喜ばしいので、『いかに納得度の高い説明ができるかな?』と大場先生のお手並み拝見という気分で、純粋に楽しみであり、粗があったとしてもあまりつっこむ気にはならない。いよいよ明日は次号発売日!
4/9 追記(雑感など)
ちなみに前回の推理では、
>ジェバンニが差し替え(あるいはまるごとすり替え?)後に持ち帰ったノートのページをSPK全員が倉庫に入る前までにあらかじめ触れておけば、倉庫で月達と対峙する時にリュークが見えると思われる。
と書いたが、これは論理的に導き出した推理ではなく、ニアに勝ってほしいという一心で、ニア側(少なくともジェバンニ一人)は本物ノートへの対処済みで死神が見えるようになっているという希望的観測の元に書いたものである。だから、当たってはいたが、それを書いた段階では憶測であり、推理とはいえなかった。
上に書いた考察は、今話に示されたヒントからようやく、希望的観測などではなく、(当たっているかどうかは別として)根拠のある推理ができた。
しかし、魅上の動向についてはちゃんと事前に伏線がはられていたし、もっと早くに思いついてよかったはずなのに、ここまでヒントを示されなければ思いつかなかったのが悔しい。
以上の推理が当たっているとすれば、メロの高田誘拐と二人の死亡そのものが、月と読者に対する壮大なミスリードになっているわけであり、大場先生の手腕に脱帽。(私自身も最初は誘拐・死亡事件から本物ノートの存在の糸口をつかもうとしたが、どう考えても無理だという結論に至り、ようやく、未検討の魅上の動向へと考えを向けることができた。)
ニアが、ジェバンニによる偽物ノートへの細工後も、高田誘拐事件が起こるまではそれが偽物だと気づいていなかったというのは正直ショックだったし、彼はそこまで間抜けではないだろうという個人的不満もあるが、それをいうならば、今回の面会への対策において月と魅上の言動にも慢心や粗が散見される(そのおかげでニアが勝てたという面もあるが)ので、どっちもどっちということだろうか。
そして何よりも、「メロのおかげ」というニアの言葉は、L派の私には嬉しい限りである。
急に出てきて、これまた急にあっさりと死んでしまったように見えた彼の死が、実は無駄ではなかったという配慮が嬉しい。仲間の死を無駄にはしないという少年漫画的王道はやっぱり好きだ。

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